過去は変えられる 三崎優太著【要約・まとめ】
こんにちは!
フランチャイズオーナーズラボの小山です。
「青汁王子」ともてはやされた三崎優太さんが出版された最新刊「過去は変えられる」という本を解説します。
青汁王子=三崎優太さん
「青汁王子」とメディアでもてはやされた三崎さん。
20代で起こした健康食品会社が年商130億円企業へと成長し、年収12億円を手にする若手起業家「青汁王子」として脚光を浴びます。
しかし、華やかな日々は国税局によって突きつけられた1億8000万円の脱税疑惑によってガラガラと音を立てて崩れていきました。
2019年3月に法人税法違反の容疑で逮捕され、地位も名誉も心の平穏も何もかも失います。
「ざまあみろ」
「脱税した金で豪遊していたのか」
「あんな奴死んでしまえばいい」
知人たちは手のひらを返したように去っていき、顔も知らない不特定多数の人から、そして多くのメディアからバッシングを受ける日々。
毎日死にたくなる。毎日消えたくなる。毎日終わりたくなる。
2019年9月6日1億8000万円を贖罪寄付したら死のう。
これ以上生きたって辛いだけだから。当時の三崎さんの心はここまで追い詰められていました。
本書では、三崎さんが経験した国税局との戦い、ツイッター上で繰り広げられた青汁劇場、1億8000万円の贖罪寄付など全てをさらけ出しています。
三崎さんの一連の失敗や挫折から何を学び、どんな決断をくだしたのか。
全てを赤裸々に告白するという濃い内容です。
人生最大のピンチを経験し、その逆境をどう乗り越えるかを模索する全ての方々に捧げる本です。
本書の重要なポイントを3つにまとめました。
① カネに狂った成功者の転落
② コンプレックスの塊の田舎者
③ SNSのメッセージが人生を変えた
それでは順番に見てみましょう。
① カネに狂った成功者の転落
「今年度の年商は、130億円に到達しそうです」
通販事業を立ち上げ、3年目にして過去最高の年商を叩き出しました。
その要因は、3年前に開発した「すっきりフルーツ青汁」という健康食品の爆発的なヒットにありました。
健康にはいいけど、まずくて飲みにくい。
既存の青汁のイメージを覆し、美味しく飲めて体にもいい「すっきりフルーツ青汁」は、これまで青汁を飲まなかった若い世代からも評判を呼び、多くの青汁ファンを獲得しました。
一般人とはかけ離れた金銭感覚
130億円に到達したことで、今までの苦労が報われた思いでした。
住まいは六本木の東京ミッドタウン。高級タワーマンションの家賃は100万円。3000万円のリフォーム。
愛車はBMW、ベンツ、ベントレー。腕時計はロレックス、フランクミュラー。身に付けるものは全身ブランドもの。
月々の洋服代は300万円以上。
ギラギラとした小物で全身を飾っていた三崎さんは、まさに絵に描いたような成金そのもの。
「テレビに出て、あなたの私生活を見せてください」
噂を聞きつけたメディアの人たちから、出演オファーが殺到するようになりました。
一般の人たちとはかけ離れた金銭感覚で営まれる三崎さんの生活をみて、ライブドアの堀江貴文さんやネオヒルズ族という言葉に象徴される与沢翼さんなど、時代の寵児となった起業家と重ね合わせる人たちもいました。
青汁王子誕生
知名度が高まるにつれて陰口を叩かれることもありましたが、気がつけば多くのメディアに出演し、「青汁王子」というあだ名がつけられていました。
メディアに出て顔が売れるようになると、大きな変化が訪れたのは交友関係。
「青汁王子に会ってみたい」と知人づてに声をかけられたり、初対面の人に「あなたが噂の青汁王子ですね!」と呼び止められました。
その中には、誰もが知っているようなアイドルやモデル、女優などの芸能人から、有名企業の経営者も大勢いました。
立場や年齢、性別に関係なく、これまで会ったこともなく知らなかった人から一方的に好意を持たれて注目を集める。
お金や名誉、高級品、華やかな交友関係。多くの人が憧れてやまないものを全て手に入れた。
三崎さんはそう確信していました。
脱税の容疑で「マルサ」強制調査
事態が一変したのは2018年1月。
三崎さんは脱税の容疑で、通称「マルサ」と呼ばれる国税局の査察官たちによる強制調査を受けることになりす。
この事件を皮切りに悪夢は始まります。
1年以上にもわたる国税局の厳しい取り調べを受けた結果、2019年2月、脱税の罪で逮捕されました。
逮捕されると世間の反応は露骨に変わりました。
ニュースで報道されるのは、「カネに狂った成功者の転落」という典型的な絵。
まるで殺人犯であるかのように徹底的に糾弾しようとするメディアもありました。
こうした報道に反応したのは、かつての友人たち。
「三崎と一緒にいるとこっちまで変な目で見られる」みんなが離れていきました。
社会全体から手のひら返しをくらい、世間の冷たさを噛みしめる中、最も精神的にきつかったのは、長年手がけてきた会社を離れるという決断。
犯罪者というレッテル
犯罪者というレッテルが貼られてしまった人間がトップを務めるような企業は、社会的信用が下がってしまいます。
三崎さんの逮捕後は、取引先もどんどん減り、業績は目に見えて下がっていきました。
これまで自分が愛し、成長させてきた会社と、創業者である自分自身を切り離すことでしか、この会社が生き残るすべはない。
「自分と一緒に会社を心中させる訳にはいかない」
18歳から12年間、ずっと人生を共に歩み、何よりも大切にしてきた会社を離れることを選びます。
「三崎さん本当に辞めてしまうんですか」
会社に辞表を提出した2019年5月10日、社員たちが今にも泣きそうな表情で見つめていました。
これまで会社を大きくしてきて、逮捕されることになっても誰1人として辞めずについてきてくれた社員たちの姿を見ていると決心が鈍りそうになりました。
彼らともっと一緒に仕事をしたかった。一緒に大きな夢を見たかった。
ただそれだけだったのに・・・。
「すっきりフルーツ青汁は本当にいい商品だから、もっともっと売れるはずです。みんなで頑張って事業を盛り立てて、日本一の健康食品会社になってください。」
そう言い残して、一度も振り返ることなく会社を後にしました。
4億円の借金返済問題
自宅に戻って鏡で顔を見た瞬間、涙が溢れてきて部屋の中で1人、大声で泣きました。
なんの肩書きも持たない1人の無職になり、全てを失いました。
会社というかけがえのない存在を失った三崎さんを待っていたのは抜け殻のような日々。
何を見てもどこへ行っても楽しくない。いくらお酒を飲んでも酔えない。
何をしてもちっとも集中できない。
人生最悪な中、三崎さんの頭に重くのしかかっていたのが、巨額の借金返済問題。
脱税事件によって、会社には修正申告や重加算税などによって4億円の費用負担が発生していました。
さらには、青汁業界全体の印象が悪くなったという理由で、5000万円の損害賠償請求。
人生のどん底には限りがありません。
借金を返すためには働かなきゃいけません。
バイト情報誌を見たり、ハローワークにもいきましたが、高卒で学歴もなく、有罪判決を受けた三崎さんを雇ってくれる企業は1社たりともありませんでした。
焼き鳥屋でアルバイト
このままでは借金返済どころか、生活資金すらままならない。
頭を抱えているとスマホに1本のメールが飛び込んできました。メールは、焼き鳥屋を経営している昔からの知り合いでした。
優しい心遣いに涙がこぼれそうになる一方、不安がよぎります。30歳にして初めて飲食店でのアルバイト。果たして自分に務まるのだろうか。
でもこのチャンスを逃せば、きっと雇ってくれる人はもう現れないかもしれない。何が再起のチャンスになるかわからない。だったら1つ1つの出会いを大切にするべきだ。
何よりもどん底の状態にいる三崎さんに手を差し伸べてくれる人がいまだに存在することに驚きました。
この優しさは一生忘れてはいけない。
未知の領域である飲食業界でも、今まで培ってきたビジネスの知識やスキルはきっと役にたつ。
焼き鳥で修行すれば、焼き鳥職人として一からやり直す事ができるかもしれない。
場合によっては自分でお店を持ち、独立することもできるかもしれない。
そんな思いでバイトを開始しました。
「飲食店でのアルバイトなんて簡単だろう」と思う人もいるかもしれません。
三崎さんはトイレ掃除もお皿洗いも人生で一度もやった事がありませんでした。
バイト初日に4枚のお皿を割ってしまい、「君は青汁王子じゃなくて、お皿割り王子だな」とあきれ顔で呟かれる。
年商130億円の社長としてもてはやされたにも関わらず、自分はトレイ掃除もお皿洗いも満足にできない。
世の中で働いている人たちの方が、自分よりもずっと優れているんじゃないか。
力不足を痛感して落ち込みました。
人生で最高の出会い
心がどん底にある状態でも、バイト先の焼き鳥屋で人生で最高の出会いが訪れます。
お客さんとしてきていた女性と交際することになりました。
社長時代は、キャバクラ嬢からモデル、アイドルとたくさんの女性が取り囲んでいました。
女性に不自由することは一度もなかった。
しかし、犯罪者として逮捕されてお金がなくなった途端、チヤホヤしてくれる女性はどんどん離れていきました。
人の心は結局お金なのか。そんな絶望と恐怖を感じていた中で現れた1つの光。
しかし、幸せを感じつつもすぐに心はすれ違ってしまいます。
「元カレは割り勘しなかったな」この一言で三崎さんの卑屈になった心は爆発。
「なんだよ、結局金なのかよ!」せっかくできた彼女は、元カレの元へ去っていきました。
極度の精神状態でやつれてしまい、友人たちに勧められ、病院へ行きます。
診断は、適応障害と抑うつ状態。
急な環境の変化に心がついていけず、心身ともに大きな支障をきたしているとのこと。
一番の原因は、年商130億円企業の社長だった日々を忘れられず、いつまでもその栄光にすがりついていることでした。
それからというもの、ホストの世界へ飛び込んで売り上げ8000万円を叩き出したり、爆発的にSNSでのフォロワーを増やしていきます。
② コンプレックスの塊の田舎者
変わり者、落ちこぼれ、社会不適合者。
幼い頃から今に至るまで、そんなレッテルを貼られ続けてきた三崎さんの人生は、コンプレックスの連続でした。
歯医者の父親と専業主婦の母親。年の近い妹と4人家族。特に裕福でもなければ、貧乏でもない。
ごく平凡な家庭の長男として生まれましたが、物心ついた頃から家にいるのが苦手。
両親は仲が悪く、家族全員で食卓を囲んでいる時でも目を合わせようとせず、会話もない。
両親の間に漂う冷ややかな空気にさらされながら、食べる味気ない食事。
そんな家庭で育ったこともあり、小さい頃から親の言うことを聞かなかったそうです。
親からあれをやりなさい、これをやりなさいと言われても、自分が正しいと思わないことはやりたくない。
そんな反抗心たっぷりの子供で育ったこともあり、
「どうして親の言うことを聞けないんだ!」
「産んだやったんだから、ありがたく思え!」
と言われることもありました。
学校での集団生活は苦痛そのもの
いつも不機嫌で怒ってばかりの両親を好きになれないまま成長したこともあり、学校でもうまくいきません。
自分が納得しないことは絶対にやりたくない。他人に行動を決められるのも大嫌い。
そんな三崎さんにとって、学校での集団生活は苦痛そのものでした。
「なんでお前は人と同じ事ができないのか。お前は問題児だな。」と先生に叱られてばかり。
毎日毎日、誰かに否定されて、バカにされて、怒鳴られる。
それが三崎さんの子供時代の日常でした。
家族も、友達も、先生も、誰も自分のことをわかってくれない。
誰も自分を必要としていない。どこにも自分の居場所なんてない。
中学に入ると集団行動がますます苦手になり、どんどん学校や家庭から心が離れていきます。
家にも学校にも居場所がない三崎さんは、中学3年の秋、思い切って地元を離れることを決断。
頼る人が誰もいない土地で暮らす不安より、新しい土地に行ける期待がこみあげる中、1人札幌へと向かいます。
寮のある高校へ進学するも、さらにエスカレートする集団生活に嫌気がさし、勉強も授業も何も手につきません。
終いには2つの学校から退学と宣告されました。この現実にショックを受けます。
「他の人にできることが、どうして自分にはできないんだろう」
コンプレックスはどんどん大きくなっていきます。
高校を退学になって通信制高校へと転入した後、三崎さんは目標を心に誓います。
それは、「自分の力でお金を稼ぐ」と言うこと。
親元が嫌で離れてきたのに、いつまでも親のお金に依存した生活をしたくない。
早く自立しなきゃと言う思いが強かったそうです。
2回も高校を退学になって大学に行けるとは思えない。
ならば、高校卒業後すぐに働いて自分自身で稼がなければいけない。
そう思いました。
くたびれたおっさんを見て・・・
自分には何ができるのかを探るため、ひとまず飲食店を中心にアルバイトの面接を受けます。
しかし、結果はすべて不採用。
ことごとく不採用になったことで、「自分はバイトすらできない人間なんだな」と強い挫折感を味わいます。
そんなある日、家の近くのコンビニに朝ごはんを買いに行こうと歩いていると、父親と同じくらいの男の人がパチンコ店の列に並んでいる姿が目に入ります。
擦り切れたジャンパーに、汚れたボロボロのズボン、髪の毛もひげも伸ばしっぱなしで、くわえタバコをしていて、顔色も悪く、でっぷりとしたお腹を突き出している。
一言で言えば、くたびれたおっさん。
「もしかして自分も将来、こんなおじさんになってしまうんじゃないか」
そんな不安が頭をよぎります。
そう思った瞬間、漠然とした恐怖心が押し寄せて、途端に自分の人生が不安で不安でどうしようもなくなります。
アフィリエイトとの出会い
今すぐ何かしなくちゃダメだ!何か新しいことをするならパソコンだろう。
ありったけのお金をかき集めて、初めてパソコンを買います。
この決断が三崎さんの人生の大きなターニングポイントになります。
「どうやったら自分の人生を変える事ができるんだろう」そんなことを考えながら、本屋に立ち寄ります。
目に飛び込んできたのは、「月収400万円稼ぐ」という本のタイトル。
そこで初めて知ったアフィリエイトはかなり衝撃的でした。
肝心なのは、いかに多くの人が訪れるサイトを作れるかということ。
2006年当時、パソコン向けのアフィリエイトはすでに飽和状態でしたが、携帯用のアフィリエイトサイトは黎明期と言える状態で、ライバルがほとんどいませんでした。
本の内容は、ライバルが少ない携帯用のアフィリエイトサイトに今から手を出せば、市場で存在感を示すことができると言うもの。
最初に作ってみた携帯アフィリエイトサイトは、ゲーム「龍が如く」の携帯電話向けの攻略サイト。
龍が如くは大好きなゲームで、攻略法もよく知っていました。
高校に行かない三崎さんには、時間だけはたっぷりとあったので、他のサイトを参考にしながら独学でサイトを立ち上げます。
その月に、ドキドキしながらアフィリエイト報酬の金額をチェックしました。すると売上は10万円以上!
「自分のアイディアと努力でお金を稼ぐことは、こんなにも幸せなんだな!」と人生で初めて体感したんです。
アフィリエイトの世界に魅了されて、24時間、ひたすらモニターの前に座り続ける日々を送ります。
朝起きたらまずはパソコンの起動。衣食住以外はずっとパソコンの前。
友達と一緒にゲームで遊ぶより、パソコンに向き合っている方が楽しくなり、友達に会う回数はどんどん減っていきます。
たまに友達が遊びにきても、三崎さんは1人だけパソコンに熱中。
「三崎はオタクになっちゃったんだな」と何度もからかわれました。
どんなにバカにされても、どんなに笑われても、他人に理解してもらえなくてもいい。
とにかくパソコンに徹底的に時間を使いたい。
そしてコンプレックスだらけだった過去を何とかして肯定したい。そんな思いでいっぱいでした。
アフィリエイトの世界にハマってからは、
・どうしたらもっとサイトに人が訪れてくれるか。
・こうすればクリックされやすいんじゃないか。
・こうすればランキング上位を取れるかも。
いろんな仮説を立てて、試行錯誤を繰り返します。
すると仮説が面白いほどにあたり、2ヶ月目には売上が30万円を突破したんです。
アフィリエイトはやればやるほど結果が出る!誰にも忖度する必要がなく、圧倒的な実力の世界。
そんな世界観は、三崎さんにぴったりでした。
18歳で年商1億円
売上が伸びてくると、優秀なアフィリエイターとして認知されたのか、いろんな広告会社から「うちで取り扱っている広告を貼ってくれないか」と声がかかるようになりました。
問い合わせが殺到しすぎて、自分1人では対応できないと判断し、人手を増やして運営することにします。
するとますます売上は上がり、月の売上は400万円。
18歳になった頃には、アフィリエイトでの年間売上は1億円にも到達していました。
ちょうどその頃に、父親と再会します。
歯医者として自営業をやっている父親は目を丸くしてびっくりしていましたが、税金の心配をしてきました。
事業で得た利益には税金がかかります。
高校生の三崎さんには、この社会のシステムは知り得ませんでした。
父親から税理士さんを紹介されて、急いで税金の対策をとります。
すると税理士さんから、「売上規模が大きいから会社にした方がいい」とアドバイスをもらいます。
落ちこぼれの自分が経営者なんかになれるのか。
不安を抱える三崎さんの心にふと浮かんだのは、「過去を変えたい」という強い思い。
今後の人生で誰かに雇ってもらえるとは思えない。
集団行動が苦手で、勉強だって得意じゃない。おまけに高校は2回も退学。
でも、自分の過去を一生後悔して生きるのは絶対に嫌だ。
コンプレックスだらけの過去を後悔するのではなく、こんな過去の失敗や挫折があったからこそ今の自分があると肯定できるような人生を送りたい。
そのためには経営者になって成功してやる。いや、大成功できなければ死んだって構わない。
株式会社メディアハーツ立ち上げ
2007年11月22日
覚悟を決めた三崎さんは、この後12年共にする株式会社メディアハーツを立ち上げました。
会社を立ち上げて、いよいよ経営者としての腕の見せ所だ!と言いたいところですが・・・
ここまでにしておきましょう。
本書を通じて、コンプレックスはものすごい原動力になるんだなぁと改めて思いました。
私も学校の友達とうまく行かず、学校に居場所はなく、親の言う通りの人生を歩みたくない。
と思っていた時期があり、とても共感できました。
大きな決断を下す際の迷いや不安、恐怖、躊躇、後悔などとてもリアルで経営者を目指していた
時期を懐かしく思います。
③ SNSのメッセージが人生を変えた
国税局査察部、通称「マルサ」
2018年の1月30日の早朝、三崎さんの自宅マンションのインターフォンが鳴り響きました。
国税局査察部、通称「マルサ」と呼ばれる脱税を調査する専門部隊です。
よほど悪質な脱税行為だと断定されない限り、マルサは動かないと言われています。
当時、たまたま寝泊まりしていた有名ファンションモデルの恋人と一緒に強制的に全身の検査をされて、全ての書類、パソコンのデータを没収されます。
「あなたには、1億8000万円の脱税の容疑がかかっています。」
全く身に覚えのない脱税容疑でした。
なぜなら三崎さんは、これまでの人生脱税をしたいと思ったことがなく、積極的に納税して内部留保として会社に現金を残しておきたいと考えていたからです。
多くの経営者は経費を使って節税したり、設備投資を行って減価償却することで利益を減らして納税額を抑えようとします。
実際に130億円売り上げた年の納税額は30億円の利益に対して、14億4000万円の納税。
専門家が見ればほとんど節税していないことがわかる高い納税率です。
なので、なぜ脱税の容疑がかけられているのか全くわからない状況でした。
恩人の後輩が詐欺行為
「弁護士か税理士を呼んでもらえますか?」
必死に抵抗する三崎さんでしたが、国税局の調査官から1人の名前を告げられます。
大切な恩人の後輩でした。
恩人の後輩ということもあり、過去に事業の出資金として送金していたことがありました。
当然、事業運営に使われていると思っていましたが、この方がまさかの詐欺行為。
税金を逃れるために、この詐欺行為に加担したとして三崎さんの強制調査に至ったという事実を取調室で知ることになりました。
あまりに幼稚でチープな詐欺行為。
追い討ちをかけるように取調室で、「あなたがこの詐欺事件の首謀者だったんじゃないですか?」と疑いをかけられる始末。
初日の取り調べは、ひたすら恩人の後輩との関係について怒鳴られながら尋問され続けました。
食事も休憩も一切なし。トイレに行く時も後ろからじっと観察されます。1人になれる時間は一切なし。
なんと、国税局は会社や役員の個人宅などへ150名体制でこの強制調査をしていたんです。
国税局の執拗な嫌がらせ
修正申告して納税をしたいと伝えても、断固として拒否されてしまいます。
国税局の調査官から言い放たれた言葉は、
「修正申告は絶対にさせない。お前の人生を徹底的に潰してやる。」
この時、三崎さんは悟りました。
「この人たちは真実はどうでもいいんだ。三崎を告発してやろうと決めているんだな。」
殴られたり蹴られたりという肉体的な攻撃こそありませんでしたが、脅迫に近い心理的な圧迫が強すぎて、心が病んでいきました。
三崎さんと国税局の関係は悪化し、1年に及ぶ取り調べが続きます。
そして特捜と言われる組織までが調査に乗り出し、脱税を認めない三崎さんは逮捕されました。
自分の運命が、権力を持った上級国民の心証や忖度1つで決まってしまう。
こんなことが法治国家である日本でまかり通ってしまうなんて・・・。
会社の業績がガタ落ち
そして国税局のさらなる嫌がらせが続きます。
なんと、三崎さんの身内や、会社の取引先に至るまでシラミ潰しに取り調べをしていきます。
結果として、
「三崎さんは犯罪者だから一緒に仕事はできません」
「逮捕者を出した会社なんて信頼がないので、もう取引はできません」
一方的に全ての取引を停止する会社が続出。中にはライバル企業と取引を開始する会社もありました。
取引先の会社は10%以下にまで減り、それに合わせて業績もガタ落ち。
多くの取引先の非情な手のひら返しを目の当たりにして、心がすり減っていきました。
ひどかったのは取引先だけではありません。
SNSでの誹謗中傷
SNSには、犯罪者、死ね、人間のクズなどという言葉が何千件も書き込まれました。
全く知らない人からも、誹謗中傷の言葉が書かれたDMがたくさん届きました。
見ず知らずの人たちからいきなり向けられる悪意に触れることで、外を歩くことに恐怖すら感じるようになりました。
テレビでは、ありもしないことを堂々と発言して「自分は健全な人間だ」とアピールする面識のない芸人まで現れました。
大半のメディアが避難する中、優しい言葉をかけてくれたのが与沢翼さん。
与沢さんも自身の会社に国税局の調査が入り、会社を解散させるという経験をしています。
もう1人、東証一部上場企業を経営するネクシィーズの近藤社長も心の支えになってくれました。
そして初公判後、今後の会社の運営に悪影響が出てしまうため、会社を自ら去ることを決意しました。
唯一心が救われたのは、三崎さんの逮捕を経ても30人近くいた社員たちは誰1人として辞めなかったこと。
「三崎さんが作ってくれた会社は、これから自分たちが受け継いでいきます。」と言ってくれたそうです。
会社を失い、仲間も失い、信じていた人や会社からも裏切られた。
国税局との一年以上に渡る戦いで、日本への信頼感も失っていた。
辞任投稿でツイッターがバズる
人生の区切りの1つとして、そして今後の会社や社員を守るためにもSNSで辞任したことを投稿します。
批判や中傷のメッセージが来ることを覚悟し、誰からも必要とされないのであれば、もういっそのことこの世から消えてしまおう。
そう思って何気なくツイッターを見ると、予想外の事態が起こりました。
なんとリツイートが1000件以上、いいねの数も1000以上というとんでもない数字がつきました。
当時、4~5万人のフォロワー数で、これほどまでにいいねがついたことはありません。
数時間の間にとんでもない勢いで拡散されていることに気がつきました。
数週間前まではこれでもかというほどに叩かれていたはずなのに、応援メッセージや励ましのメッセージがたくさん届きました。
会ったことも無い人間に、これほど多くの人が親身になってくれるのか。
ボロボロで壊れそうだった三崎さんの心が、優しく包まれているような気持ちでした。
この時、1つの真実にたどり着きます。
世間の人々は、「誰かがいい目を見ている時は叩くけど、堕ちて行く時はすごく共感してくれる」というもの。
この心理に気がついたことは、その後の三崎さんの活動を決める大きな指標になりました。
そう、国税局の闇を世の中の1人でも多くの人に知ってもらうべく告発しようと決心したんです。
転落人生を発信
胸を張れる納税をしてきたにも関わらず、国税局によって全てを失った事実を伝え、執念で告発を実行に移すこと。
そのためにはどんな手を使ってもいいから注目を集めて発信力をつけるしかない。
そこで注目したのが、SNS上で落ちて行く自分の姿を赤裸々に見せて行くというもの。
この一連の流れは「青汁劇場」と名付けて、世間から注目を集めるために恥を忍んで発信を続けました。
そして裁判の判決が下る9月6日。
この日に「脱税したとされる1億8000万円を180人に100万円ずつ配る」というキャンペーンを決行し、動画を配信して自らの命を絶ってやろう。
守るものがない人間に怖いものはありません。
死ぬことが心の支えだった三崎さんは、強烈な批判やバッシングは痛くも痒くもありませんでした。
そして迎えた判決が下る当日。
動画投稿後、あとは死ぬだけかと思っていた矢先に、次々とリツイートやリプライが怒涛のように押し寄せられ、フォロワーも140万人に到達していました。
そして何より衝撃だったのが、「大変でしたね、応援しています。」と、どれも優しさに溢れたメッセージだったこと。
メッセージを一通ずつ読むごとに、あれほど死にたかった気持ちが少しずつ薄れ、新たに勇気が湧いてくるのを感じました。
ここで死んではいけない。
自分にはこの世の中を良くするために生きて、もっとやらなきゃいけないことがある。
SNSに寄せられた温かいメッセージによって、三崎さんは命を救われて、人生は大きく動きました。
最後に三崎さんからのメッセージです。
「どんな過去だって、向き合い方によって変えることができる。」
本書の解説は以上です。
いかがでしたでしょうか?
お金持ちになると本当に危険と隣り合わせなんだなと痛感します。
投資によるリスク、事業運営のリスクなどいろいろありますが、詐欺目的で近づいてくる人、手の平を返して裏切る人。
人によるリスクが一番大きいんじゃないかなと私は本書を読んで感じました。
でも三崎さんのように、試行錯誤の末に人によるリスクをプラスに転換させて、爆発的な結果を残しているのはとんでもないことだなと思います。
得られた結果を分析して、次の行動に移して行くまでの思考のプロセスが大変勉強になり、ビジネス本としても成功者の自叙伝としても読み応えがあります。
この記事でご紹介した以外にも思わず息を呑むようなストーリーも登場しますので、本書を手にとって、学んでみてください! →過去は変えられる
他のインフルエンサーのお金に関する本もご紹介しています。
ビジネス系YouTuberマナブさん →億を稼ぐ積み上げ力
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